韓国WEBTOON市場動向

2024年の韓国WEBTOON市場は、コロナパンデミック後の影響を受け、業界全体が大きな変化を迎えています。
オンラインコンテンツの需要が増加し続けているものの、新作WEBTOONの登録数は減少傾向にあります。特に大手プラットフォーム間ではカカオ系とネイバー系で対照的な動きが見られ、競争が激化しています。
最新データによる市場の変化
登録作品数の減少
- 2023年と比較すると、全体の登録作品数は約 6.7%減少
- カカオページは16.1%減、カカオウェブトゥーンは22.0%減 と大幅な縮小を記録
- 一方で ネイバーウェブトゥーンは20.1%増、ネイバーシリーズは20.4%増 し、プラットフォームごとの戦略の違いが鮮明に
- ウェブトゥーン市場は成熟段階に入り、新たなヒット作が生まれにくくなっていることも影響
- 一部の企業は、過去のヒット作のリメイクやスピンオフを活用して作品数の減少を補おうとしている
新作登録数の減少
- 2023年に 1万7,245作品 登録されていたが、2024年は 14.6%減 の 1万4,723作品 に減少
- 新作ウェブトゥーンの制作コストや競争の激化により、業界全体で新規投入を控える傾向が見られる
- 採算性が高いジャンルへの集中が進み、多様性が失われつつある
- 特に中小の制作スタジオでは新規作品の開発が難しくなっており、大手との格差が拡大
- 作品の質を向上させるための投資が求められているが、制作費の上昇によりリスクが増大している
成人向けジャンルの拡大
- 登録されたウェブトゥーンの 57.7%が18歳以上対象
- BL(ボーイズラブ)やロマンス・エロジャンルが急成長 し、固定ファンを抱える作品が収益面で優位に
- 成人向け作品の比率が高いプラットフォームとして、BOMTOON (83.4%)、Jjangmanhwa (82.0%)、BookCube (71.9%)、Lezhin Comics (71.3%) などが挙げられる
- 大手プラットフォームの成人向け作品比率では、ネイバーシリーズが48.6%、カカオページが17.0%、カカオウェブトゥーンが6.6%、ネイバーウェブトゥーンが5.2%
- ユーザーの好みが細分化しており、成人向け作品も特定のサブジャンルが強い支持を受ける傾向が見られる
- 一方で、規制の強化が懸念されており、過度な表現の規制により市場の縮小が起こる可能性もある
中小プラットフォームの閉鎖増加
- ウアハン兄弟が運営していた漫画鏡 (Manhwakyung) がサービス終了 し、市場の淘汰が進行中
- 大手プラットフォームの影響力が強まる一方、中小プラットフォームの存続がますます困難に
- 運営コストの上昇、広告収益の減少、ユーザーの定着率低下などが主な要因
- 一部の中小プラットフォームは、特定ジャンルに特化したり、グローバル展開を進めることで生き残りを模索している
- 競争が激化する中、差別化戦略を持たない企業は撤退を余儀なくされている
業界全体の変化の背景
ポスト・パンデミック時代の影響
- 2020年から2023年にかけて、コロナ禍の影響でオンラインコンテンツ市場が急成長し、多くの新規ユーザーがウェブトゥーンに触れる機会が増加。
- しかし、エンデミックへの移行とともに、成長率が鈍化し、市場が飽和状態に達する。
- 競争の激化により、新規作品がヒットする確率が低下し、企業はブランド力を持つ既存IPの活用にシフト。
- コンテンツの質と収益性のバランスを取ることが今後の課題となり、独自性のある作品が求められるようになっている。
- 一部の企業は、ユーザーのエンゲージメントを高めるために、コメント機能やファンイベントを積極的に展開。
収益性重視の作品制作へのシフト
- BL、ロマンス、成人向けコンテンツの強化 により、収益性を確保する動きが加速。
- 一般向けの新規コンテンツ制作が減少し、多様性の確保が課題となっている。
- 収益の安定性を確保するため、企業はサブスクリプションモデルや広告収益の最適化を進める。
- ユーザーが無料で利用できる範囲が縮小し、プレミアム会員制度を導入する企業が増加。
- 高収益を狙うため、ドラマ化・映画化を前提とした作品企画が増加。
グローバル市場への進出強化
- 韓国ウェブトゥーン企業の海外展開が活発化し、国内市場の成長鈍化を補う動きが強まる。
- 特に英語圏、東南アジア市場をターゲットに、翻訳版や現地制作のウェブトゥーンが増加。
- 米国や日本市場では、韓国ウェブトゥーンのプレゼンスが拡大中で、現地のクリエイターとコラボする事例も増えている。
- 日本市場では、ウェブトゥーン形式のマンガが紙媒体と並行して販売される動きがあり、新たな収益源として注目されている。
- 中国市場への参入は、政府規制の影響を受けやすいため、合法的な配信経路の確保が重要な課題に。
新技術の活用による市場変革
- AI技術の導入により、カラーリングや翻訳作業の効率化が進み、制作コストの削減が可能に。
- インタラクティブストーリー、VR/ARを活用した新しい形態のウェブトゥーンが登場する可能性もあり、ユーザー体験の向上が期待される。
- NFTやブロックチェーン技術を活用したデジタル所有権の概念が広まり、一部のウェブトゥーンがコレクタブルなデジタルアートとして販売され始めている。
- ユーザーの行動データを解析し、個別最適化された作品の推薦システムが発展。
- 音声やBGMを組み合わせた「オーディオウェブトゥーン」の実験も進んでおり、新しいコンテンツ消費の形態が生まれつつある。
今後の市場予測
市場の低迷は2025年も継続する可能性が高い
- 韓国漫画映像振興院(KOMACON)の分析によると、2024年の下降傾向は2025年上半期まで続く見込み
- 各プラットフォームは 新たなマネタイズ手法の模索を進める必要がある
- 広告収益の多様化、有料会員制度の強化、サブスクリプションモデルの導入 などが今後のカギとなる
ウェブトゥーン市場の回復には新しいビジネスモデルが必要
- 企業は IP(知的財産)の拡張 や 映像化、ゲーム化 などの展開を強化
- ウェブトゥーン原作のドラマ・映画化 などのメディアミックスが市場回復のカギとなる

たま
2025年以降、ウェブトゥーン市場はどうなっていくのだ?
グローバル展開が鍵になるんじゃないのかな?韓国市場は伸び悩んでいるけれど、海外市場ではまだまだ成長の余地があるからね

もんもん
WEBTOON市場まとめ
韓国ウェブトゥーン市場は、パンデミック後の影響で成長が鈍化し、新作の減少や成人向け作品の増加が特徴となっています。
しかし、グローバル市場への展開や新技術の導入により、新たな市場の可能性が広がっています。市場の変化を注視しつつ、今後の成長の方向性を探っていくことが重要です。