はじめに:表に出ることのない“最強”
『俺だけレベルアップな件』には、名前だけの登場でありながら、読者の記憶に深く刻まれるキャラクターがいます。
そのひとりが、シッダールタ・バッチャン。
彼は「インドの守護者」と呼ばれ、世界ランキング4位に位置する国家権力級ハンターです。
謎に包まれた存在感
表舞台には姿を見せない彼が、なぜそれほどまでに強大な存在として語られるのか?
本記事では、その背景・力の源・続編での変貌までを、徹底的に掘り下げていきます。
シッダールタ・バッチャンとは何者か?
インド最強にして世界の守り手
異名と信念
シッダールタ・バッチャンは、インド出身のハンターの中で最強の存在とされており、その圧倒的なパワーから「歩く発電所(Walking Powerhouse)」という異名を持ちます。
彼の強さは単なる戦闘力にとどまらず、人々を守るために力を使うという信念にも根ざしています。
国家級権力ハンターの称号を得た理由
彼が国家権力級ハンターとなったのは、8年前に起きた未曽有の災害「カミッシー討伐作戦」の生還者の1人だったためです。
この作戦では、多くのS級ハンターが命を落とし、わずか5人だけが生き残った。
この5人こそが、各国で「国家権力級ハンター」として特別に認定された存在なのです。
彼の力の源「支配者の器」とは?
「光の破片」を宿す者
支配者に選ばれし存在
シッダールタは、支配者と呼ばれる高次の存在によって選ばれ、「光の破片(Fragment of Luminosity)」をその身に宿しています。
これは、単なるハンターの能力を遥かに超える力を引き出すエネルギー体であり、支配者の「器(うつわ)」として選ばれた証です。
念動力と霊体化による戦闘能力
シッダールタの能力
- 支配者の権能(Ruler's Authority):念動力を自在に操る力。あらゆるものを自在に浮かせ、押し潰す力として発現。
- 霊体顕現(Spiritual Body Manifestation):支配者の力を宿した巨大な姿に変化し、圧倒的な破壊力を持つ。
これらの能力は、同じ国家級ハンターであるトーマス・アンドレや劉志剛とも共通しています。
続編『ラグナロク』における劇的な変貌
記憶と力を取り戻した“神に選ばれし者”
『俺だけレベルアップな件:ラグナロク』では、リセットされた世界線で再登場します。
この世界では、彼は過去の記憶と力を取り戻しており、自身を「神に選ばれた存在」だと信じるようになっています。
道を外れた英雄
変貌した姿
かつては人々を守ろうとする無私の存在でしたが、ラグナロクでは異なる姿を見せます。
- 使徒との同盟を結ぶ:強さを求め、影の勢力である「使徒」と手を結ぶ。
- ドラゴンとの融合実験:絶滅したドラゴンのエッセンスを人間に注ぎ込み、新たな生命体を作ろうとする非人道的実験を行う。
- ワー・ドラゴン化したギルド:自身が率いるインド最大のギルド「阿修羅ギルド」のメンバーを、半ば強制的にドラゴンハイブリッドに変貌させてしまう。
かつての英雄は、力に取り憑かれた狂信者へと変貌していきました。
最期と“影の兵士”としての再生
死と転生
最終的に、彼は「君主」の一人によって討たれ、その命を落とします。
しかし、主人公・水篠守護の影の力によって復活し、「影の兵士シータ」として再び世界に関わることになります。
この転生は、彼の“贖罪”ともいえる存在の再定義だったのかもしれません。
国家権力級ハンターという存在の中での位置づけ
表舞台に現れぬ“最強の裏面”
読者の心に残る存在
シッダールタは、原作本編では姿を現さず、名のみ登場するという特殊な立ち位置でした。
しかし、その肩書きや評価から、ファンの間では「間違いなく最強クラス」として認識されていました。
支配者の器としての宿命
彼のような国家級権力ハンターたちは、単なる強者ではなく、「宇宙規模の戦争に巻き込まれた選ばれし駒」でした。
そのことが、彼らの栄光と悲劇を物語っています。
おわりに:英雄の名は影となって残る
再生の象徴
シッダールタ・バッチャンは、“守護者”から“異端者”へ、そして“影の兵士”へと三たび変化した人物です。
彼の物語は、ただの戦闘力だけでは語り尽くせない、信念・挫折・再生という人間ドラマそのものでした。
彼が最後に見せた姿は、果たして堕落だったのか、それとも進化だったのか――。
それは読者一人ひとりの心に委ねられています。