読者層の把握がWEBTOON理解のカギ
WEBTOONは「縦読み」「フルカラー」「スマホ最適化」などの特徴を持ち、今や日本国内でも主流のデジタルコミック形式として定着しつつあります。
こうした作品をより深く理解し魅力を伝えるには、「誰が」「どんなジャンルを」「どのように」楽しんでいるのかを知ることが重要です。つまり、読者層の分析が欠かせません。
この記事では、男女別・年代別という２つの視点から、人気ジャンルの傾向やその背景、プラットフォームごとの特徴を紹介します。
男性読者に人気のジャンル：圧倒的な力とカタルシス
男性に人気のWEBTOONジャンルは「SF・ファンタジー」（29.9％）。さらに細かく見ると「バトル」（32.1％）が特に高い支持を得ています。
なかでも注目されているのが、「転生・憑依・回帰」といった異世界を舞台にした“転憑回”系作品。現実で虐げられた主人公が、異世界で強大な力を手にし、理不尽な環境を打破していく展開が読者に強いカタルシスを与えます。
代表的な作品
テンポ◯
- 『俺だけレベルアップな件』
- 『入学傭兵』
- 『ゴッド オブ ブラックフィールド』
- 『盗掘王』
これらはテンポのよい展開と迫力あるバトル描写で、縦読みの特性を活かしたビジュアル表現が魅力です。さらに「復讐劇」も人気の要素で、社会の理不尽に立ち向かう姿が代理満足を生んでいます。
女性読者に人気のジャンル：恋愛と復讐とファンタジー
女性読者にもっとも人気なのは「恋愛」（52.6％）、中でも「ラブコメ」（41.6％）が突出しています。「転生・憑依・回帰」を組み込んだ“ラブファンタジー”も根強い人気です。
特徴的なのは、かつて悪役だったヒロインが運命をやり直す“ざまあ系”や、“復讐劇”のストーリー。現実のストレスや葛藤を物語で乗り越える構造が、多くの女性読者の共感を集めています。
代表的な作品
- 『女神降臨』
- 『私の夫と結婚して』
- 『再婚承認を要求します』
- 『よくある令嬢転生だと思ったのに』
美麗な作画と感情豊かな描写で没入感を高めるとともに、恋愛ジャンルとの相性が良いフルカラーの利点を最大限に活用しています。
年代別分析：10代〜60代まで広がるユーザーベース
WEBTOONは10代から60代まで幅広く読まれており、特に20代の閲覧率が45.9％と高水準。10代や30代でも4割を超えており、若年層を中心に定着しています。
一方で40代以上の中高年層でも約4割が閲覧経験あり。これはWEBTOONがサブカルチャーにとどまらず、マス層に広がっている証拠です。
60代以上では、紙の漫画から移行した読者も一定数おり、「縦読みの見やすさ」や「スマホで読める手軽さ」が移行のきっかけとなっています。
年代別の利用アプリ傾向：プラットフォームのすみ分け
読者の年齢によって、よく使われるWEBTOONアプリにも違いがあります。
10〜20代：LINEマンガが主流
SNSとの親和性が高く、インフルエンサーによる拡散も多いため、若年層へのリーチ力が抜群。トレンド作品との相性も良好です。
30代：LINEマンガとピッコマが拮抗
短時間で読める構成やバランスの取れた作品ラインナップが、忙しい世代に好まれています。
40〜60代：ピッコマが優勢
読み応えのある長編や社会派・復讐劇ジャンルが人気。ピッコマの「待てば¥0」モデルは価格に敏感な層に支持されています。
その他：マンガBANG!
30代男性を中心にアクション系や硬派な作品が人気。アプリごとのレコメンド機能や広告展開の違いも、読者層の住み分けに影響しています。
ジャンルと読者の心理的欲求の一致
男性がファンタジーやバトルを好む背景には「現実を超える力への憧れ」、女性が恋愛や復讐劇を好む理由には「共感」「葛藤の昇華」があります。
いずれも、日常でのストレスや欲求を物語の中で満たす“代理満足”の構造があり、WEBTOONのフォーマットと非常に相性が良いといえます。
縦スクロールによる「引き」の演出や視覚的没入感は、そうした欲求をより強く刺激する仕掛けとなっています。
おわりに：読者層の理解がヒット記事のカギ
WEBTOON紹介コンテンツを作る際は、「誰に向けて書くか」を明確にすることが成功のポイントです。
たとえば10代女子向けなら、ビジュアル重視のラブコメ作品を中心に紹介すると効果的です。30代男性には、社会派やバトル系を押し出すと共感が得られやすくなります。
さらに、記事内で「この作品はピッコマで読めます」など、読後の行動につながる導線を入れるのも大切です。
読者層のニーズに寄り添った構成が、WEBTOON紹介コンテンツの質を高め、より多くの人の心に響く発信へとつながります。
